「5年生のマット運動学習」 −わしら同志会の体育実践−
1.実践した学級
5年1組38名(男子22名、女子16名)3学期実践 8グループ(4〜5人、男女混合、生活班と兼ねる)
2.教材「側転を含む連続技」
連続技モデル
[はじめ](はじめのポーズ)→前転→前まわり・V字バランス→肩倒立→
[な か]→前屈→開脚後転→後転→
[おわり]→側転→着地(おわりのポーズ)
3.実践のねらい
@技術ポイントを見つける
・技術認識を深めるための工夫
子ども自身がポイントを見つける活動をすることによって技術の認識が深まるか
・教え込むではなく、子どもが見つける技 術ポイント(コツ?視点?)
・そのための授業の流れ
技をやってみる→ポイントを見つける→ポイントを視点にして技を試す
・ノートを書いてポイントをまとめる
教え合いの記述・わかったことなどの記述から、見つけたポイントをまとめる
Aグループ学習
・班でポイントを見つける。班でポイントの視点で確かめ合う。アドバイスし合う。 発見したポイントをまとめる。
○学習カードを使って
・教え合いの様子を記述に残す(アドバイスを書く)
・お互いの記述を見合うこと
・班会議で、それぞれの記述にある「ポイント」を出し合いまとめていく
4.目標
@連続技や側転がうまくなるポイントを見つける。
A見つけたポイントを教え合って、みんなでできるようになる。
B連続技をすることで、マット運動を楽しむ。
5.実践の流れ(全15時間)
連続技モデルを提示 技は側転中心
発表会(認識のまとめ)
モデルを提示して、共通の連続技を練習 するようにした。
第0次 オリエンテーション (4時間)
実態調べ(アンケート、側転のでき具合)
ねこちゃん体操、動物歩き
床運動のビデオを見る
第1次 連続技モデル「はじめ」「なか」の学習(2時間)
第2次 側転の学習(6時間)
第3次 連続技モデル
「はじめ」「なか」「おわり(側転)」の学習(1時間)
第4次 発表会とまとめ(2時間)
6.授業の様子
(1)第0次 オリエンテーション
@実態調べ 1/21
○アンケート、側転のでき具合
3学期の体育は「マット運動をする」と宣言。「エー!!いややー!」の大合唱。アンケートをとる。
「マット運動は好きですか」
マット運動が好き0人、ふつう14人、 嫌い22人(2名欠席)だった。
「嫌いな理由」は
「できなかったら恥ずかしい」「目がまわる」「首が痛くなる」「当たって痛い」「速く行けと言われる」
「マットでしてきたことは?」
「ころがる」「前転」「後転」「開脚前転、後転」
○側転をやらせてみた。
できる子は5人(36人中)
Aねこちゃん体操1/26
今後、毎時間の授業の初めに準備運動で「ねこちゃん体操」をしていくので、動きの説明をしながら覚えていかせた。
マットは各班マット2まいつなぎ、放射線状に並べる。
B動物歩き1/28
準備運動で「ねこちゃん体操」をする
動物歩き「アザラシさん」「シャクトリムシさん」「クマさん」「ラクダさん」「カニさん」「木馬さん」「うさぎさん」「うさぎの足うち」をする。
動物歩きで大切な3つのポイント「しっかり体重を手のひらにのせる」「こしを高くあげる」「手をしっかり見る」を説明し、チェックカードを使って班で観察し合った。
その後、連続技「前転2回連続」「後転2回」「前転後転」をする。
C床運動のビデオを見る1/31
マット運動といえば「前回り」「後回り」のような単一技のイメージを持っているので連続技とはどのようなものかを見せることと、マット運動のおもしろさは連続技による表現運動であることを知らせるために、オリンピック選手の演技(ビデオ)を見せた。審判になったつもりで「床運動競技では何を見て点数をつけているのだろう」と問いかけ、考えさせた。
(2)第一次 連続技モデル「はじめ」「なか」の学習
@連続技モデル1「なか」=「前屈→開脚後転→後転」2/14
ねこちゃん体操では「フー、ハッ」がうまくできない。
動物歩きでは、特にクマさん歩きで「手」「腰」「指先を見る」に気をつけて観察し合い、アドバイスするようにした。

※授業の流れは、
授業中
(1)課題(問題)提示 班「グループノート」(記入者は輪番制)、 個人「学習カード」を持たせる。
(2)学習する技をやってみてポイントを見つける(班で)
(3)各班の考えを出し合いまとめる(全体で)
(4)まとめたポイントを観察の視点にして練習する(班で) グループノートにアドバイスを書く
(5)ミニ発表会(全体で)
授業後
(1)学習カードを書く(個人)「できたこと」「できなかったこと」「わかったこと」「教えたこと」「教えてもらったこと」「感想」など
(2)記入した学習カードを班内で回し読みする
読んだらサインとコメントを書く
(3)「今日の学習のまとめ(発見!今日の技 のポイント)」(グループノート)を書く
班会議をして、班全員で問題に対するポイントを出し合い、記入者がノートにまとめて書く
連続技の学習の初めなので、課題は「連続技をとぎれないように、なめらかにつなげよう」とした。グループノートや学習カードの図を見せて、今日学習する技(連続技)を説明した後、各班に分かれて図を見ながら自由にやらせた。しばらくしてから集合させ、今日の問題「連続技をとぎれないように、なめらかにつなげるにはどうすればいいか、をそれぞれの班で考えてみよう」と話して、班に分かれて技を実際にやってみながら相談させた。グループノートに記入者が書き込めた頃に全員集合し、順番に班のまとめた考えを発表していった。
※課題に対する各班の考え
(グループノートの記述)
1班「一定の速度でする。あせらずゆっくりと」
2班「リズムをとって」
3班「手をちゃんとつく。途中で止まらない。勢いをつける」
4班「無駄な動きをしない」
5班「リズムに合わせる」
6班「前屈のとき足を曲げない」
7班「途中で止まらない」
8班「次の行動を考えながらする」
質問や具体的な説明をして話し合った後、各班からの考えの似通ったポイントをまとめて、「(1)一つ一つの技を正確にする。(2)途中で止まらずにすること。(3)次にすることを考えてすること」とし、まとめたポイントに気をつけて班で練習させた。練習のときは、一人一人が順番に技をするのを見てメンバー一人一人に対して「気づいたことや教えたいこと」を個人の学習カードに書くようにした。
練習では、一つ一つの技は不正確でも、途中で止まらずに続けようとしていた。アドバイスでは、技のでき具合(手をしっかりつく、足を広げるなど)についての記述が多く、なめらかにする以前の、技を正確にすることの方が多く書かれていた。しかし、練習のときの教え合いの様子は活発なものではなく、一人ひとりが勝手にやっているという印象だった。書くことで精一杯で、あまり教え合いをしていないのではないかと思った。
動き自体は、前時に観たビデオの効果があったのか、「はじめのポーズ」「おわりのポーズ」をきちんと決めようとしていた。また、手足や背筋を伸ばすことを意識してやっていた。
練習の後、でき具合をチェックする時間がなくなったので、ミニ発表会は一人ずつ連続技をさせて授業を終えた。
教室に戻って班会議(授業時間の一部、給食食べながら)をする。まず個人の学習カードの「できたこと」「できなかったこと」「わかったこと」「教えたこと」「教えてもらったこと」「気づいたこと・感想」「自分の課題」を書く。メンバー全員が書き終わったら、学習カードを回し読みする。そして、記入者が司会になり、それぞれの学習カードの「わかったこと」などの記述や教え合いの書き込みの中から、今日の課題についてのポイントと考えられるものを出し合い、グループノートの「発見!今日の技のポイント」に書いていく(書き残そう)ようにした。
○まとめ「発見!今日の技のポイント」各班の記述(資料)
教え合いでは「技を正確にすること」の記述が多かったが、まとめでは課題に対するポイントが多く書かれていた。連続技のポイントとして、「リズムよくする」「次の技を考えてする」は、次回の「V字バランス」では「次の行動(V字バランス)を考えて、どうすればうまくできるか」という問題に使うようにした。
A連続技モデル2「はじめ」=「前転→前まわり・V字バランス→肩倒立」2/18
ねこちゃん体操は準備運動でグループごとにするようにしたが形だけでポイントが押さえきれていない。動物歩きは「クマさん」を中心に3つのポイントを再度押えた。
前時の課題「なめらかにする」に加えて、前時で8班から出た「次の行動を考えてする」が大事になる「V字バランス」を入れた連続技を学習する。

試しの練習ではほとんどの子が、足が下についてしまう。「V字バランスで止まるには、どうしたらうまくできるか」を練習する中で考えさせ、各班の発表をした。
1班「そこだけ練習する」
2班「ゆっくり自分のペースでとぎれないようにする。なるべく早く手をつく」
3班「2回目の前まわりをゆーくりーやる」
4班「いきおいをつけない」
5班「前まわりをゆっくりする。あわてない。」
6班「あんまりいきおいをつけすぎない」
7班「V字バランスの前にできるだけスピ
ードを落とす」
8班「1回目の前転はすばやくなめらかに、
2回目はゆっくりなめらかにする」
「@2回目の前まわりをゆっくりすることA早く手を着くこと」の2点にまとめて、練習に入った。
今回は練習で一人一人が技をするとき、メンバーの教え合いができるように、メンバー全員でアドバイスを考え、グループノートに書くようにした。「うまくなるためのポイントは」「こうすればうまくなる」「教え合う言葉で」という項目にした。それに加えて、授業後に学習カード(個人)にはメンバー一人一人のことを書く欄を作った。
ポイントはわかったものの、アドバイスができない班が多かったので、全員を一旦集合させ、1つの班にやらせてみた。「できているかどうか」できてないとしたら「どこができていないのか」「どういうアドバイスをしてあげたらいいか」をみんなで考え、アドバイスした言葉を記入者がグループノートに書いていくようにさせた。
そして各班に分かれて練習をした。練習の中ででき具合(○△×)をチェックし合った。
まとめ「発見!今日の技のポイント」の記述(資料)
「リズムよく」「ゆっくりする」などスピード調整に関する記述が増えてきた。
B連続技モデルB「はじめ」「なか」=「前転→前まわり・V字バランス→肩倒立→前屈→開脚後転→後転」2/22
ねこちゃん体操はグループではなく一斉にするようにした。フー、ハッのとき頭が上下しているだけで、胸の動きができていない。肩倒立の動きがおそい。動物歩きでは、クマさん歩きで大切な3つのポイントを答えさせて、アドバイスし合った。
うさぎの足打ちは、2回以上を目標にして、うまい子はどこがうまいかを見せるようにした(比較)。うまい子の「腰のそり」「足の曲げ」を見せる。勢いで前に倒れる子には「手と手の間を見る」ことをアドバイスした。

これまで学習した連続技をつなげるだけなので、課題は「(なめらかにできるように)友だちのもっとなおすところは」とした。
<班の考え>
1班「開脚後転は足を広げてピンと伸ばしながら回る」
2班「足を伸ばす」
3班「V字バランスの時、足を伸ばす。後転の時と前転の時、いきおいをよわめた方がいい」
4班「肩倒立の時、肩より上はちゃんと伸ばす」
5班「次の技を覚える。すばやくする」
6班「手をつく(開脚後転の時)」
7班「いきおいをつける」
8班「一定のリズムで。一つ一つの技の手をしっかりつく」
「技を正確にすること」と「いきおいの強弱」に気をつけて練習した。
「発見!今日の技のポイント」(資料)
(2)第二次 側転の学習
@側転1「川とび」3/2
ねこちゃん体操。動物歩き「クマさん」「うさぎの足うち」
この日から側転の学習に入る。課題は「川とびを大きく見せる方法を見つける」
班で「川とび」をカードを見てやってみる。問題は「川とびで、おしりを高くあげるにはどうすればいいか」
<班の考え>
1班「足を上に上げれば、おしりも上がる」
2班「手をちゃんとついていきおいをつける。着地のとき足を?」
3班「手でおしあげた。足を上げるのに意識した。いきおいをつける。足を上に上げる。手を両手でちゃんとつく。手を曲げない」
4班「いきおいをつける。腰と足を上げる」
5班「いきおいをつける。足を伸ばす。床を蹴る。手をちゃんとつく。手より遠くを見る」
6班「手をしっかりつく。バランスをくずさない。少しいきおいをつける」
7班「(ノートなし)」
8班「手をしっかりついて、足をしっかり上げれば、おしりも上がる」
「足を上げる」と「手をしっかりつく」が多い。他にもいろんな意見があったので、まとめないで、考えを交流するだけにして、各班の練習に移った。
☆今日の学習のまとめ(資料)
「手をしっかり着く」はほとんどの班から出されていた。
「おしりを高く上げる」も図を見ればわかることだが、そのために「足を上げる」練習をしているので無理やり足をあげてしまい、体を反ってしまっている子がいた。「おしりを上げるようにする」がポイントなのに、「どうすればいいか」という聞き方をしたため混乱させてしまったようだ。
まとめの記述には「どこを見るか」についても書かれていた。
「足を見ないで手の方を見たほうが足は上がる」
「足を見ながらやったらおしりが上がった」
「手と手の前」と「足を見る」で意見が分かれた。
A側転2「川とび側転」3/3
準備運動は「クマさん」と「うさぎの足打ち」を重点的にした。(ねこちゃん体操は断念)
前時の「(川とびをする時)どこを見るか」を確かめる。全員で「足を見る」と「手と手の間を見る」の両方を試す。「こわい」「手の方がやりやすい」の声が多数。それでも4人は足を見たほうが足が上がる」というので、授業の終わりに川とびの様子をビデオに撮ることにした。(静止画をプリントアウトして次回に使用)
この日の問題は「川とび側転をうまくするにはどうすればいいか」 川とびから発展して、「手手足足の順に着く」ことが教えるポイントになる。
<班の考え>
1班「うまい人は体が伸びている。両手を一気につかない(片手ずつ)」
2班「足を伸ばす。いきおいをつける。手をしっかりつく。うまい人は最後『大の字』になってる」
3班「足を伸ばす。体を伸ばす。手のつきかた」
4班「足を伸ばす。片足ずつ着地する」
5班「いきおいをつける。着地の時にバランスをとる」
6班「いきおいをつける。全体を伸ばす。しり上げる。手をしっかりつく」
7班「足が曲がってる」
8班「(記述なし)」
「片手ずつ」「片足ずつ着地する」という記述があるが「足を伸ばす」が多い。図を見ても「足の伸び」や「大の字」に目がいく。ここではまとめずに練習に移った。
☆今日の学習のまとめ(資料)
「手の着き」や「足・体の伸び」が多い。
B側転3「川とび側転」他にポイントは3/4
これまでに側転のポイントでみんなで確認できたのは「手をしっかり着く」「おしりを上げる」の2つ。「おしりを上げる」は確認できたが、「足を上げる」ことに意識してしまう子が多いため、前時に撮ったビデオの静止画をプリントしたものを使って「側転のうまい子は体がどうなっているか」を見比べさせた。子どもたちが体育館に来る前に、一人一枚の側転している画像(全員分)を体育館の床に並べると、うまい子を探し始めたので、誰がうまいかを聞いた。何を見てうまいと言ってるか聞くと、「体がまっすぐ」「足が上がってる」「足が伸びている」という。そこで、足は上がっているが手肩腰のラインが曲がっている子の画像をいくつか見せると、「足は伸びていても、体がまっすぐではない」「体がまっすぐってどういうこと?」「手からおしりがまっすぐ」「手と肩とおしりがまっすぐ」といって、手肩腰のラインに気づいていった。
「どこを見るか」は前時に撮ったビデオの静止画を使って、どこを見ているかを確認した。「足を見ている」といっていた子も「マットの方を見てる」ことを確かめた。
この後グループノートを配り、学習内容を説明した。
課題「側転をうまくできる方法を見つけ、できるようになる」
問題は「川とび側転をうまくするには、他にどんなポイントがあるか」
<各班の考え>
(1)手をしっかり着く (2)手と手の前を見る (3)おしりを上げるの他にどんなポイントがあるか、考える。
1班「手を着くとき片手ずつ。足を伸ばす」
2班「(ノートなし)」
3班「片手ずつ手をつける」
4班「手肩腰がまっすぐに。片手ずつやる」
5班「着地の時、すべらない」
6班「手肩腰がまっすぐになるように。手は片方ずつ」
7班「体をまっすぐにする」
8班「手を足元に置くようにまっすぐ手をつく。手も片方ずつつける」
グループノートには「(1)手をしっかり着く(2)手と手の前を見る (3)おしりを上げる」のでき具合のチェックを書き、班で見つけたポイントを視点にしてアドバイスを書かせた。「△や×の人を○にしよう」というと教え合いが多くなった。
☆今日の学習のまとめ(資料)
これまでで子どもたちがわかったこと(これが技術認識か)は「手をしっかり着く」「手と手の前を見る」「腰を上げる(手肩腰のライン)」「手手足足に順に着く」
授業の前や後に側転を連続して遊んでる子が数人いた。
C側転4川とび側転の連続3/7
課題「側転をうまくできるようになる」
問題「川とび側転の連続をきれいにするポイントは何か?」
マットを二枚使い、連続で側転をする。手手足足がまっすぐでないときれいに連続できない。「できてる人とできてない人のちがいは何か」を問うことで、「手手足足がまっすぐ」な側転のポイントであることに気づかせる。
<班の考え>
1班「手・肩・腰がまっすぐになっている」
2班「なめらかになってない。足がななめとか曲がったりしてる。」
3班「着地の時に立っておく(しゃがまない)。ゆっくりする」
4班「足のばす。着地の時、足を安定させる。手と手の幅を肩幅ぐらいにする。着地の時、ころばない。スムーズにする」
5班「着地の時にしゃがまない。足を伸ばす」
6班「足を伸ばす。手を少し押すようにする」
7班「リズムよくする」
8班「こわがってたら体をのばせない。連続なので止まらない。手をしっかりつく」
「着地を安定」「足がななめとか曲がったりしてる」を取り上げ、みんなを集めて 観察する位置を決めて、うまい子に数回やらせて見た。「連続をスムーズにするにはどうするか」と聞くと「手手足足の着き方がまっすぐ」という。そうなっているか、再度みんなで見本を見た。川とび側転の連続をきれいにするポイントは「手手足足の着き方がまっすぐ」であるとまとめて、グループノートの「観察ポイント」に書き足し練習をした。ほとんどができない。自分の手足がまっすぐになっているかわからないので、次回、手型足型を使うことにした
D側転5 手型足型を使って3/11
課題「手型足型を使って、きれいな側転をするにはどうするかを考えよう」
一人一人の手型足型を調べた。学習カードに自分とメンバーの手型足型を記録させた。そして、問題「側転がきれいにできている人は、手型足型がどのようにならんでいるか?」について班で相談させた。
<班の考え>
1班「左足が横に向いている」
2班「(記述なし)」
3班「まっすぐになっている」
4班「だいたい枠内に入っている。手、足がそろっている」
5班「手足がまっすぐ」
6班「手・手・足・足がまっすぐになっている」
7班「手型足型をまっすぐにしている」
8班「たてにきれいに、手手足足になっている」
まとめ「手型足型が一直線になっている」
練習をしたが、教え合いはほとんどない。何をアドバイスするかがわからない。
D側転6 手型足型が一直線になる練習3/14
問題「手型足型が一直線になるにはどうすればいいか」
手型足型を使った練習をする。そしてポイントを相談した。
☆班で見つけたポイント(資料)
もう少し習熟の時間をとるべきか迷ったが、連続技の練習に入ることにした。
(3)第三次 連続技モデル「はじめ」「なか」「おわり(側転)」の学習
@側転を入れた連続技3/22
課題「連続技モデル全体をなめらかに演技して、発表できるようになろう」
問題「連続技モデル全体を上手に演技するためには、どこに気をつけて演技すればいいだろうか」
連続技のポイントが、そのまま発表会の評価ポイントになる。
<班の考え>
1班「きれいにできてる人はスピードが一定」
2班「リズムを考えながらやる。一つ一つの技のポイントを気をつける」
3班「技を覚える。V字バランスや開脚後転の時、ちゃんと足を開く。肩倒立の時に足をしっかり上げる」
4班「次の技を覚える。後転の時ちゃんとしゃがむ」
5班「何をするかを覚える。技ができるようになる。次の技を考えてスラスラする。側転ではバランスをくずさない。スピードを考える」
6班「技を覚える。後転の時に、いきおいをつける。V字バランスの時に意識する」
7班「手をしっかりマットにつける。できないところを意識する」
8班「一定のリズムでやって、技を覚えてゆっくりする」
まとめは「(1)技を正確にする (2)つなぎをなめらかにする」に「(3)初めと終わりのポーズを決めるを付け足した」
3つの評価ポイントをグループノートの表に書き込み、練習をして、でき具合のチェックとアドバイスを書き込むようにした。
(4)第四次 発表会・まとめ
@連続技の発表会・まとめのアンケート3/23
前時の3つの評価観点でグループごとに行った。その後、教室で「まとめのアンケート」を書いた。
7.実践のまとめ(アンケート結果)
(1)学習目標についての子どもたちの感想(35名)
@「連続技や側転がうまくなるポイントを見つける」について
・ポイントを見つけることができた 33人
「ポイントが見つけることができた」とおおまかに書いてる子「側転は手手足足になっている」「(連続技は)なめらかに、途切れずにする」などポイントを具体的に書いている子
・子どもの記述
「連続技や側転がうまい人とうまくない人と見比べたらポイントが見つかる」
「へたな人とうまい人が連続技や側転をする」
「班で話し合って、もっとポイントを見つけることができた。一つ一つの技のポイントを見つけて学習していくのもいいなぁーと思った」
「ポイントがうまく見つからなかったけど、友だちにいろいろ教えてもらってポイントを見つける力がついたと思う」
「最初はうまくなるポイントなんか見つけるなんて無理と思った。けど、マットをしてたら、いろいろなポイントを見つけた」
A「見つけたポイントを教え合って、みんなでできるようになる」について
「教え合う」と「できる」の2つがあり、評価しにくい
(1)「できたか」についての記述
「ポイントをみんなで教え合うと、ちょっとだけできるようになった人もいたり、教え合ってもまだできない人もいた」
「見つけたポイントを教えるのは、あまりできなかったと思う。人の話を聞こうとしてなかったから」
グループによって差がある
「ポイントは見つけても、実際そのポイント通りにやってみることができなかった」
・肯定的
「みんなから、あーせー、こーせー、ちがう!とか言われたり言ったりしてみんなでできるようになった」
「みんなでできるようになったと思う。だからみんな成長してるんだと思う」
(2)「教え合い」についての記述
「私からは教えたりはしてなかった」
「初めは教えることすらできなかったけど、今はだいぶ教えたり教えられたりしている」
「できた。自分ができてないところがわかるし、次は意識してみようと思う」
B「連続技をすることで、マット運動を楽しむ」について
(1)どんな楽しさか
いろんな技がある。ポイントを見つけること。できなかった技ができること(もっと練習したくなる。)連続技が成功したとき。すらすらできると楽しい。笑わずに教えてくれた。見つけたポイントを教え合って、やって楽しむ。
・記述
「最初はなんで連続技をすることでマット運動を楽しむのかなぁって思ってたのに、今になったら連続技はマット運動を楽しませてくれるのが、やっていてわかった」
(2)楽しくなかった
できない人がいて、みんなできなかったから。目がまわる。むずかしい。マット運動は嫌いだから楽しめなかった。
Cその他、学んだこと
「連続技をして、初めてもっとしたい!と思った」
「マット運動がこんなに楽しいことがわかった」
「マット運動でも連続技があることを学んだ」
「学習カードを書いてきて、『こう思ってるんだなぁー』と、人の思っていることがたくさんわかった」
「マット運動は『できる』というのが大切なのではなくて、『みんなで教え合いできるようになる』ってことが大切なんや なーと思った」
「マットをして、どんな勉強も一人でやらず、友だちと教え合ってやったほうがコツなどがわかって、一人でやるよりうま くなる」
「初めは嫌やったけど、楽しくなり、一人が失敗とかできない技があれば、みんなでその人にアドバイスや、はげましの言葉を言ったり、前とはちがう」
Dマット運動は
すき17人 どちらとも言えない14人 きらい4人(35人提出)
☆各グループの(資料)
【例会のまとめ】
1.実践の概要
5年生の子どもたちとの実践。4年生時に学級崩壊でほとんど学習が成立していなかった子どもたちを五年生でなんとか異質共同のグループ学習を仕組んできた。そんな学年の最後の三学期に行った実践である。もちろん全生研の学級作りもあったのだが、体育でのグループ学習が子どもたちをつなぎ、学習に向かうようになっていった。
マット運動で、連続技を中心にした実践である。「側転を含む連続技」で連続技のモデルにそって学習された。はじめから技を連続させるためのポイントを子どもたちに見つけさせながら、グループ学習を仕組んでいった。この実践では、グループノートと個人ノートを使い、子どもたちの思いを出させたり、技術ポイントを考えさせたり、友達を見させたりしているところが特徴的である。
2.その時間の学習課題・学習内容・問題がはっきり示されている。
グループノートには学習課題・学習内容・問題がはっきり示されている。問題は、子どもたちに考えてほしいことが記され、このことによって見る視点を考えることになる。これがグループの課題になっている。グループで考え、発見するというスタイルがわかりやすく、グループ学習をする時の大切なポイントになってくるのだろう。
3.グループノートと個人ノートの使い分け
グループノートにはその時間に行うこと(行ったこと)、グループで発見したポイント、その時間にした友達でのアドバイスなどが書かれている。そして教室に帰って個人ノートに自分が見つけたポイント、友達へのアドバイス(教えたこと・教えてもらったこと)を書く。さらにその書いたアドバイスをグループ内にまわし、アドバイスに対しての感想を友達から書いてもらう。というようにアドバイスが一方通行になりがちなところを、双方向にさせようというねらいが読み取れた。よくよく見ていくと、友達からアドバイスされたとか書いているのだが、アドバイスをされた友達の記述を見るとアドバイスしたことを書いていないというようなことも起こっている。アドバイスされている本人にとっては気になっていることでも、アドバイスをしたほうからすればあまり印象にないこともある。またその逆もあるだろう。意識にのこっていないところでも意外に教え合いが盛んに行われているということだろう。さらにグループノートにはその授業時間内に行ったアドバイスを忘れないうちに書いている。片本先生は「書くことに必死になってそればかりになってしまった」と反省していたが、行ったアドバイスを書くことでアドバイスをするために友達を見ることができたようにも思われる。
授業後(主に給食の時間)には、個人ノートのまわし読み(書き)が行われ、友達の意見を聞く・友達に意見するということが徹底されていた。これもグループ学習が活発に行われた一つの要因であろう。
4.グループ学習の高まり
子どもたちがポイントを見つけることにこだわって学習を進めていることでグループ学習が活発に進められた。「腰や足を高く上げよう」という課題がグループの中で確認され、アドバイスがされるようになった。しかし「腰をあげるためにはどうしたらよいか?」を考えるようになった時にグループ学習の質が高められるのだろう。そのためには教師の投げかけや問いかけ、考えさせる手立て(例会では“はしご”という表現であった)が必要になってくる。何を考えさせるのかを突き詰めていくことがグループを発展させることにつながっていくのだろう。
5.連続技のポイントは?
連続技を中心に学習を進めていき、そのポイントを発見する形で学習を進めていった。子どもから出てきたポイントが「なめらかにするためにリズムをとる」「次の技を考えてする」「一定のリズムでする」「止まるときのはゆっくりする(X字がきれいにみえる)」などが上げられている。しかし連続技中心の実践の経験者が少なく、不十分な論議となった。これから連続技の何が大切なのかを考えていく必要があると感じた。
6.一年間の取り組みが子どもたちをここまで成長させた
あまり多くを語らないK先生なので、よくわからなかったが、少しずつ語っていく中で一年間の取り組みの中で子どもたちが成長していったことがわかった。春からリレー、ドル平、フラフトと同じような形で行ってきたそうである。これだけのノートを書くことによく子どもたちがついてきたなという印象であったが、この一年間の取り組みがあってこそのものだということがわかった。しんどい子どもたちであっても、大きな気持ちで接しながら、子どもたちをプラス思考で見ていくことで、さらにはグループ学習によって変わっていくことがわかった例会となった。
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