「スポーツとジェンダー」 (2004.6.18) -わしら同志会の体育実践-
2.スポーツとジェンダーフリー スポーツとジェンダーフリー、一見何のつながりもないように感じるが、そうではない。スポーツにおける女性の歴史を見ると、今までの女性の歴史や女性の立場に対する考え方というものが色濃く反映されている。誤った女性に対する見方や偏見が少なくなったり、女性の立場に対する見直しが進むにつれて、女性の社会にでていく人口が増えたり、職業や地位が多様になったように、女性のスポーツ参加人口が増えたり、今まで女性にはできないと考えられてきた競技や種目が、公式種目として認められるようになってきている。このようにスポーツの世界も一般社会と連動しており、一般社会の縮図と考えることができよう。 ジェンダーフリーを考える時に、男女間で起こる差異が、肉体的な性差(セックス)に起因しているものなのか、ジェンダーバイアスによるものなのかを、考えなければならないように、セックスを無視して考えることはできない。スポーツに世界においても、セックスの違いが競技、種目、ルール、記録の取り方などにもあらわれている。 子どもたちに、一般社会の縮図であるスポーツ界の中で存在している男女の差異を、セックスによるものなのか、ジェンダーバイアスによるものなのか、を意識して考えさせたり、スポーツにおける女性の歴史や立場について考えさせることによって、多様な価値観の存在に気付き、固定的な男性観、女性観にとらわれないスポーツ観を育てたい。 さらに、ジェンダーバイアスは女性特有の問題なのではなく、ひとりひとりの生き方の問題なのだということに留意しながら、自分たちの身近にある問題を考えさせ、男女が共生できる社会を築くことができるようにさせていきたい。 今回教材として、オリンピックを取り上げている。今年はオリンピックが開催されるので、子どもたちにとって情報をたやすく手に入れることができると考えたからである。また、オリンピックは「スポーツの祭典」といわれ、一度に多くのスポーツの現状を考えることができるし、多くの国々の現状も考えることができるからでもある。 奇しくも今年は近代、古代オリンピック発祥の地、アテネで行われる。近代第1回(アテネ)オリンピックと今年の(アテネ)オリンピックを比べてみると、男女間の違いだけでなく参加国数、種目、競技、参加人口などについても違いが見られる。また、古代オリンピックと近代オリンピックの歴史を見ると、古代オリンピックは中止されたことはないが、近代オリンピックは3回の中止がある。戦争がオリンピックに与えた影響や、「スポーツの祭典」と言われるだけでなく「平和の祭典」と言われることについても目を向けさせ、戦争のない平和な世界を築くことの大切さについても考えさせた。 |
ジェンダー :社会的文化的に作られた性差 ジェンダーバイアス :社会的分化的に作られた性差に対する偏見や先入観 ジェンダーフリー: :正確には、ジェンダーバイアスフリーと呼ぶべきであって、社会 的文化的性差に対する偏見、先入観から自由になること「解放され ること)と解釈するとわかりやすい。 |
☆近代オリンピックおもしろクイズ <Q1>次の3つの競技の中で過去にオリンピックの競技であったものはどれだと思いますか? 1,腕相撲 2,綱引き 3,玉入れ <Q2>古代オリンピック種目からも存在した陸上の短距離走(100m)は今と ルールが変わっていました。1つだけ正しくないものがあります。どれだと思いますか。 1,男女が一緒に走った。 2,スタートとの仕方(姿勢)が自由であった。 3,コースにロープが引いてあった。 <Q3>今回のオリンピック(アテネ)は、第1回目のオリンピックの開催都 市でもあります。アテネ(ギリシャ)以外にもパリ(フランス)、ロンドン(イギリス)ともう一つ過去に2回開催された都市があります。それはどこだと思いますか。 1,北京(中国) 2,ロサンゼルス(アメリカ) 3,東京(日本) <Q4>日本人がはじめてオリンピックでメダルを取った競技は何だと思いますか。 1,陸上(マラソン) 2,テニス 3,水泳 <Q5>オリンピックでは過去にいろいろな事が起きています。次の中で1つだけ正しくないものがあります。どれだと思いますか。 1,マラソンの優勝者に、途中車に乗って時間をかせいだ人がいる。 2,マラソンの優勝者に42.195kmを裸足で走った人がいる。 3,マラソンの優勝者に漁師を職業にしていた人がいる。 |