「1年生のじゃまじゃまサッカー」 −わしら同志会の体育実践−
「じゃまじゃまサッカー」をサッカー学習の入り口にしよう!
(小学校低学年サッカーの実践)
1.はじめに
中標津大会球技分科会で大阪の球技プロジェクトの舩冨氏よりこれまでのサッカー分科会の研究の推移をまとめたものが提案された。その中に、最近サッカー分科会として取り組んでいる低学年のサッカー教材の優位性を定義化している部分がある。これは、低学年サッカーの最近の実践・研究を支える大事な内容を示している。
低学年でサッカーを扱う優位性
第一には、自分の目線より上の空間を認識する力は、中学年以後になってからといわれている発達段階にいる低学年の子どもたちにとって地面の上を転がすサッカーあそびは、ほかのボールあそびに比べ比較的無理なく取り組むことができる。「サッカーはどうか?キック力がないため地面上をゆるく転がる程度のボールしか蹴れないため、苦手な「飛球」(野球・バスケト型ボールあそびで出てくる目線より上のボール)を扱うことはほとんどない。また、強いボールがなかなか蹴れないのであたってもそれほど痛くないだから恐怖感は生まれない。・・・・当然、試合の様相は密集状態である。時折り密集からボールがこぼれることがあり、それを拾ってシュートする子も出てくる。初期の試合様相をこの様なものと把握しておけば十分ゲームを楽しませることが出来るのである。」(小学校低学年の球技指導のあり方舩冨氏)
第二には、片足のサーカスと表現されるサッカーを学ぶことでこの時期に養うに適している巧緻性を身につけることができる。巧緻性つまり身体バランスのことで「リズムやバランスのとれた動き作り」ができる時期としている。(小学校低学年の球技指導のあり方舩冨氏)
2・「じゃまじゃまサッカー」
このサッカーあそびの実践は、大阪球技プロジェクトの辻先生が神戸大会で実践報告したものをより発展させ 低学年からのサッカーあそびの優位性を今まで以上に確かなものにしたいという願いからはじまった。発展させる内容は、一年生でも「わかって・できる」体育の追求を課題とすること。
・・・6〜7歳の児童は、『「きのうも今日もおくれたから、明日は早く行く」というように、過ぎたことを振り返ったり、行動の予定を子どもながらにたてることができる・・・・。』「子どもたちが、自分に必要なように、いろいろな状況に働きかけ、その変化に合わせようとするが上手くいかないときがある。どうしてだろそれなら今度はこうしようと、反省や予期をふまえながら、くいちがいや新しい状況に取り組ませることが必要で、指導においては、生活経験を再び組み立て、子どもたちが、お互いにひびきあいながらいろいろな場面での生活が理解できるような方向付けを行うことが大切。」』低学年だからといって、教師からの「一方通行の授業ではなく」「子どもとともに授業をつくる」姿勢を堅持するならば十数時間の授業も可能であり、その分技術習熟をも保障できるのである。(「小学校低学年の球技指導のあり方」舩冨氏)
1年生なりの分析と総合の授業の可能性を示しておりビデオやグループノートなどを使った授業展開を構想できると考えた。
3.児童の実態
男子8名・女子12名計20名の子どもたちである。何事にも積極的で貪欲なくらい学習意欲に満ちている子どもたちだった。初めて一年生の担任になったのだがとても気持ちのよい子どもたちだった。
一月からサッカーあそびをする予定を立てていた。運動会が終わった。それ以降ボールはこびゲームを十二月いっぱいまでした。そのなかで子どもたちは、密集の中ならランできるコースを開くため だましをつかったり自分たちのチームメイトを犠牲(かべ)にして得点することを学んだ。このことがサッカー学習にとても役立った。
4.学習目標
サッカーの特質「二人のコンビネーションによるパス・シュート」をゲームの必然から導き出したい。当初の目標は、「パスをつなぐことで得点することが有効」このことが子どもたちの側から出ることに置いた。
この目標を現実にしようとした時以下の技術の習得が必要となる。そのために試されずみの要素あそびといえるものを初期にふんだんに取り入れた。
パスを使った「じゃまじゃまサッカー(3対3)」(攻防が入り乱れない攻と守が分かれるゲーム)に必要とされる技術
@ドリブルでボールが運べる。
・足の裏を使ってのボールコントロール(押したり・引いたり・横に動かしたり)
・カニさん歩き
・だるまさんがころんだ
・コーンやフラフープを使った競争(足のいろいろの部分をつかうこと。インサイド・アウトサイドなど)
Aボールの確保ができる。
・ボールずもう(デフェンスとの間に体を入れる)
・ボールあんたがたどこさ
・だまし(フェイント)
B空きを見つける・つくることができる。
・うさぎとかめ
・くやしい
・ドリブル突破1対1・2対1
かべ作り(顔を上げ周りが見れる)
Cシュートができる。
・ワンバンシュート合戦
・ドリブルシュート合戦
(インステップキック・インサイドキックなど)
Dボール渡し・パスができる。
・インサイドを使ってのパス
・ストップ トラップができる。
以上@〜Dの技術が獲得できるように授業を構想した。
5.授業経過
この実践は、紙面上の実践計画をもたずに臨んだ。頭の中にあったのは、いろんなサッカーあそびを経験させた上でパスを必要とする試合にもっていこうということだけだった。時間数も取り立てて気にせずにおこなった。サッカーの地域クラブもなく経験者は、一人もいない状況だった。ただ一人遊びでボール扱いの上手な子はいた。以下は、授業経過を時間を追っての報告である。
前期「ボール操作に慣れさせる時期」
チームは、生活班を中心に4チーム(1チーム5人)
1月11日(木)体育館 1h
☆ボールを使った柔軟体操・ボール操作のための感覚練習
・「だるまさんがころんだ」
・フラフープを使ったドリブル競争
1月15日(月)運動場 1h
☆ボールを使った柔軟・感覚練習
シュートの仕方・とどく距離しらべ。
インステップキック・インサイドキックを教える。
ドリブルシュートごっこ
くやしい・ボール鬼
・子どもたちのシュート力でわかった平均値は、約4m(ころがるのが大半)
1月18日(水)体育館 1h
☆ボールを使った柔軟・感覚練習
・ドリブル競争フラフープあり
・ワンバンパス
手を使う(自分でボールを持ち手前に落として足に当てる)
手を使わないで(足の甲で浮かせて行う)
1月22日(月)運動場 1h
☆ボールを使った柔軟・感覚練習
・ボール引き・押し
・「だるまさんがころんだ」
・ワンバンシュート
ワンバンのボールを蹴るタイミングや距離感がなかなかつかめなかった。浮いた強いシュートには、なかなかつながらない。
1月29日(月)運動場1h
☆ボールを使った柔軟・感覚練習
・ボールあんたがたどこさ
「テレビ伊藤家の・・で放映されていたあんたがたどこさがクラスで流行りだしていた。そこでこのリズムをつかってボールの感覚練習が出来ないものかと考えついたのが『ボールあんたがたどこさ』である。両足の間でボールをころがし『さ』のところで足の裏でボールをとめるそれをくりかえし途中で引く動作を入れたりするボール感覚練習」
・ボールずもう
☆5対5のじゃまじゃまサッカー
・5人の守りが立っているだけ
・体でじゃまするだけ
・フリーの3段階
・攻めは、全員ボールをもってドリブルでシュートをねらう。
2月1日(水)体育館 1h
☆ボールを使った柔軟・感覚練習
・ボールあんたがたどこさ(ゆっくりのリズム、速いリズム)
・フラフープドリブル競争
・ボールリフト
・ドリブル対面フェイント
・じゃまじゃまサッカー5対5
2月2日(木)運動場 1h
☆ボールを使った柔軟・感覚練習
(ボールあんたがたどこさ)
・じゃまじゃまサッカー5対5
2月5日(月)運動場 1h
☆ボールを使った柔軟・感覚練習
(ボールあんたがたどこさ・ワンバンリフト)
・コーンを使ったドリブル競争
・じゃまじゃまサッカー5対5
個人とチームのノートを使う
2月8日(木)教室1h体育館1h
教室では
前時の個人ノートとチームノートから大事な点を確認した。
フラッグフットボールの密集をこじあけて進む時味方をかべにすることをこどもたちは、学習しておりその影響が出ている。
その1 デフェンスの空きを見つけること。・なつなよりゆうかへ「あいているところにいくのがじょうずだね」
その2 空きを見つけたらスピードをつけてドリブルをする。
その3 味方がかべになって通す。 「ひとりがぎせいになったから点が取れた。」
その4 フェイント「あいてをゆだんさせる」
ボール相撲をする意味を教えボールを確保する重要性を強調
体育館では
カラーコーンを一周(足の裏を使う)
フラフープまでドリブル競争
ドリブル1対1抜き競争
2対1ボール2こ ボール1こ
・空きを見つけ通り抜ける。
・体を入れて抜く方法・相手をだまして抜く方法
じゃまじゃまサッカー五対五
・ボール全員とボール2個パターン
ボール2個の場合体は入れるがなかなか点が入らない。デフェンスのほうが早くすきをうめてしまう
2月9日(金)体育館1h
☆ボールを使った柔軟・感覚づくり
空きを見つけドリブルですばやく通り抜ける。
・ウサギとかめ
2月15日(木)体育館2h
☆ボールを使った柔軟・感覚作り
(ボールあんたがたどこさ)
密集をぬけ1対1に対応するため
・ボールなしのだまし(フェイント)練習
・ボールありのだまし(フェイント)練習
1対1
2対1
空きをみつける、つくる
・じゃまじゃまサッカー 5対5(全員ボールあり・攻撃側)
・じゃまじゃまサッカー 5対5(ボール2個・攻撃側)
・じゃまじゃまサッカー 3対3(ボール1個)
・あんたがたどこさ二人バージョンの紹介(きしもとまき・えんどうかりん作)「既に説明した あんたがたどこさを2人でするもの『さ』のところで相手に渡す(パス)するもの」
2月16日(金)教室 1h
☆オリエンテーション
授業を自分たちで計画するそのためのチームノート・個人ノートの作り方の説明
作戦の攻めのところを具体的にしめす。(例をあげる)
2月17日(土)教室1h運動場1h
教室
☆試合の進め方の説明
チームは今までどおり
3対3のゲーム
残り2名のうち審判1線審1
守り・攻めそれぞれ3分ずつ
前半3分後半3分
1チームが計6分の攻め・守りをして交代する。
正味12分の試合
運動場
簡単なストレッチ・ボールあんたがたどこさ1人・2人バージョン
・フェイント(だまし)ボールある なし
・体を入れる ボールある なし
・じゃまじゃまサッカー3対3
☆運動場でのはじめての練習試合
試合の進め方を具体的に指示
理解するのに時間がかかったが終わりごろに理解できたようだった。
ビデオで撮影する。
後期「コンビネーションを必要とする時期」
2月18日(月)教室1h運動場1h
教室
土曜日の試合を見ていると密集になってかべやフェイントでなかなかぬけない状態が出てきているのでここで左右の大きく開いた空間をどう使うかを子どもたちに考えさせパスの必要を導き出すことにした。それには、ちょうど「あんたがたどこさ」の2人バージョンも子どもの側から出てきたこともあり絶好のチャンスと考えた。土曜日の試合で点が入らなかった場面を黒板に描き出しこう全員に質問した。
T「空きをふさがれたらどうする」
S「だましをして突破する」
T「それでもふさがれたら」
れお「左右の両方があいている。」
T「あいているところどうつかうといいかな」
T「ボールを持ってる人がそこまでドリブルして運んで通すか?」
S「それじゃおんなじように守りにおいつかれふさがる。」
T「どうしたらボールを守りより早くそこまではこべるかな」
S「・・・・・・・・・」
T「じゃヒントを言おうあんたがたどこさ2人バージョンがヒントだ。」
れお「けってわたしたらいいドリブルより早くわたせる」
T「そうだそのとおりパスしたらいいんだ。これをレオさくせんと言おう。」
運動場
フェイントボールあるなし
・だるまさんがころんだ
・あんたがたどこさ1人 2人
☆じゃまじゃまサッカー
れおさくせんお手本を見せる
終了後
「なにかかわったことは」と聞くと点がたくさん取れるようになったといっている。
ほしチーム「れおさくせんをつかったからてんがとれました。」
ぴちぴちチーム「あいてがれおさくせんをしたから8点もとられました」
クリリンチーム チームノートにある「なにができるとどこのチームからもてんがとれるようになるか」の設問に対し「れおさくさんがもっとうまくなったら」と答えている。
クリスチーム「れおさくせんがよかったから8点とれた。」
2月20日(火) 教室1h
パスを出した後なにもしないで立っている場面が多いのでレオさくせんは、1回でなく何度もできることを説明
2月22日(木) 体育館1h
パスを使っての攻撃が生まれてきたのでパスを出す側が注意すること受ける側が注意することを見つけさせるため体育館の上の通路から試合をしているチームを観察させた。
「まもりのいるところにボールをわたしている」「パスがとれない」
ビデオでも全体的にボールを出しやすいところに味方がいないことをみつける。
2月23日(土)教室1h運動場1h
教室
攻めと守りいままで出てきたことをまとめる。
攻め
・だまし(フェイント)を使う
・かげから出てボールを受ける
・パスをしっかり受け止める
(足先で止めようとせずからだをそこまでもっていってうけとめる。どこにボールがでるかわかりすばやくそこにはしる。)
・すきまをあける
・みつける
・体を入れてボールを確保する
守り
・だまされない
・ひとりひとりにくっつく(マーク)
・すきまをあけない
運動場
準備運動(既記)
かげから出て受ける練習
☆じゃまじゃまサッカー3対3
2月26日(月)教室1h運動場1h
攻めのときにどうしたら味方にパスを出すところを伝えられるかの質問をした。
S「手で合図する。言う」
S「それじゃああいてにわかってしまう。」
なつな「めでサインをおくればいい。」
T「そのとおりだこれからは、なつなさくせん めでサインを送ろう」
総当たり戦開始bP
ほしチーム対ピチピチチーム6対1
パス2 パス・ドリブル1
ドリブル2
パス・ドリブル2
チームノート
@なぜてんがとれたかとれなかったか
Aなにができるとどこのチームからもてんがとれるようになるか。
Bなぜてんがとられなかったか とられたか
Cなにができるとてんがとられないですむのか
ほしチーム
@かげから出たから6点とれた。
A目でしるしをおくる
Bしるしをおくられた
Cかげからださない
ピチピチチーム
@たくやがパスをうけとめたからてんがとれた。
Aパスをだすとことをわかるとてんがとれる。
BCは、まだわかりません。
クリスチーム対クリリンチーム=5対4
パス3 パス4
パス・ドリブル2
クリスチーム
@パスがうまかった。
Aこころをしとつにしたら。
Bあいてがてきとうにやっていた。
Cパスがうまくとれた。(カット出来た)
クリリンチーム
@みわがあいているところをさがさなかった。
ABCわかりません。
2月28日(水)体育館1h
あんたがたどこさ
・ひとりバージョン ボール1
・ふたりバージョン ボール1
・ふたりバージョン ボール2
うさぎとかめ
くやしい
だるまさんがころんだ
1対1のドリブル突破だまし体いれ
2対1のドリブル突破ボール2個、1個
3月2日(金)教室1h
☆守りについて マークする時の大事な点についての確認
マークする時の体の向きは、パスを出す人と受ける人がみえるようにどのように構えると良いか?
S「ななめがいい。」両方マークできる。
攻めについて ボールの出しては、一歩下がると味方が良く見える。
出してがじゃまゾーンに近づきすぎるため注意をした
3月3日(土)運動場1h
☆ななめにかまえボールとパスをうける間に体をいれることを確認
試合に向けてのさくせん練習
「かげからでろ」「めでサインをおくっているか」の声があちこちで飛び出す。
総当たり戦bQ
クリリンチーム対ほしチーム=6対5
パス3 パス2
ドリブル2 ドリブル3
パス・ドリブル1
クリリンチーム
@あいているとこをみつけドリブルしていったから
Aまだわかりません
Bすばやさが早かったから
Cだまされない
ほしチーム
@あらいがよくみていなかったから
Aめでサインをおくる
Bかくど(かげ)をきめられたから
Cかくど(かげ)をきめる
クリスチーム対ピチピチチーム=7対2
パス2 パス2
ドリブル4
パス・ドリブル1
クリスチーム
@あいてが、ななめになってなかったからてんがとれた
Aパスがもっとうまくなればとれる
Bわかりません
Cだまされないでいるとうまくいく
ピチピチチーム
@とものりがパスやドリブルでてんをとったから
Aわかりません
Bだまされたから
Cかげからださせない
3月5日(月)運動場1h
総当たり戦bR
クリスチーム対ほし=9対1
パス3 ドリブル1
ドリブル2
パス・ドリブル4
クリスチーム
@あいてをかたまらせあきをつくったから9てんとれた
Aドリブルとパスのがったいがうまくいくとてんがとれる
Bななめのあいだのなかにひとりいたから(ボールと受けての間の意味)
Cななめのなかに一人いたらパスされないですむ
ほしチーム
@みんながしるしができていなかったから1てんしかとれなかった(目でのサインのこと)
Aみんなのちからがつながったら
Bさくせんどおりあいてがうごかなかったから
Cあいてのボールのだすところがわかる
ピチピチチーム対クリリンチーム=5対3
パス2 パス1
ドリブル3 パス・ドリブル2
ピチピチチーム
@とものりがパスドリブルでてんをとった
Aドリブルとパスができるとてんがとれる
Bボールのひとがじょうずにうごいたから
Cななめになればてんがとられないですむ
クリリンチーム
@あいているとことをみつけすぐシュートしたから
Aれおさくせんがもっとうまくいったら
Bおおたがさくせんどおりうごかなかったから
Cもーっと休みじかんとかいえでれんしゅうしたら
総当たり戦試合結果
優勝 クリスチーム 3勝0敗 総得点21点
準優勝 クリリンチーム2勝1敗 総得点13点
第3位 ほしチーム 1勝2敗 総得点12点
第4位 ピチピチチーム1勝2敗 総得点 8点
総当たり戦を終えて
当初の目標だった「パスをつなぐことで得点することが子どもたちの側から出てくること。」は、二月十八日(月)の教室での授業のなかで子どもたちの認識として確認できた。また、その作戦(戦術)をレオ作戦と命名した。それは、子どもたち自身が見つけだしたことでサッカー学習の励みになると思ったからだ。このパスを使う作戦の前は、ボールはこびゲームの延長上の肉弾戦のような状況が続いた空きを作るのも味方のかべを利用し1対1になった時は、だまし(フェイント)と体を入れて抜くと言った具合だった。
ここで獲得した技術は、子どもたちにとってパスを必要とするゲームになった時も大いに役に立つものだった。それは、どれひとつとってもパスゲームにおいても必要とされる技術デフェンスとのかけひきで特に要求される内容だからだ。
攻めの技術では
かべをつくり空きをつくる。相手にボールを取らさない。一対一で相手を抜く・相手の動きをよく見る(ルックアップ) これらの技術を確かなものにするためのボール操作の育成
守りでは
空きを作らない動き
ボールを奪う技術
相手の動きをよく見る(ルックアップ)
総当たり戦の結果は、クリスチームの優勝で決まった。チームのメンバーも力のある子どもが集中していたこともあって当然の結果となったといえる。しかしこのチームの授業での果たした役割は大きかった。よく考えほかのチームに教えてあげたり出来ていた。なんといってもれおくんがいたチームだけあってパスを出したり受けたりすることに相当きをつかっていた。どこのチームよりはやくパスを使った作戦を考えたのもこのチームだった。
3月8日(木)体育館1h
チームを変える。力の差がおおきくなってきていて子どもの側からもこのままでは、おもしろくないということになり最後のトーナメント戦は、力の差がないようにしようと決まった。子どもたちにチーム編成を任せよとしたが思うようにできなかったのでリーダーを2人教師が決め後は子どもたちの意見を入れて決めた。
・かげから出てボールを受ける練習
3月9日(金)運動場 2h教室1h
準備運動の後練習試合
ボールのもち手が動くことを指示
ボールを持ったまま動かず味方を探しパスを出そうとするができないことがおおくそれでは、デフェンスとのずれをつくりだせずあきが出来ない。
教室
ビデオ観察
パスが通る時何が出来てないといけないのか。
パスが通るところをストップして見せた。
また、うきだまといってチップキックでボールをうかせてパスをとうそうとしたことろも偶然見ることが出来た。さちこチームノートとトーナメント戦のさくせんづくり
3月12日(月)運動場1h
トーナメント試合
はじめにドリブルを中心としたさくせんのれんしゅうパターンの提示
攻めの3人が一緒に動くことを強調
パスを中心としたさくせんのれんしゅうパターンの提示
ボールを持っている人はカニさん歩きなどで守りのずれをつくること。
試合トーナメント戦
1回戦
・クリス対ピチクリ=4対5
パス4 パス2
パス・ドリブル3
・ボンバー対クリスタル=6対3
ドリブル2 パス1
パス 4 ドリブル2
決勝戦
ピチクリ対ボンバー=6対5
パス4 ドリブル1
ドリブル2 パス4
3位決定戦
クリス対クリスタル=8対0
パス5 ドリブル3
試合結果 優勝ピチクリ 準優勝ボンバー 3位クリス 4位クリスタル
試合後のまとめ
チームノートより
@なぜてんがとれたか 取れなかったか
Aなにができるとどこのチームからもてんがとれるようになるか
Bなぜてんがとられなっかたか とられたか
Cなにができるととられないですむか
ピチクリチーム
@カニさんであきをみつけてすぐパスで行ったから
Aカニさんであきをあけてパスをする。
Bあいてがカニさんであいだをあけてパスをとおしたから。
Cあいてがパスさくせんをしてきたらパスをうけとる人をマークする。
ボンバーチーム
@パスがとおったからてんがとれた
Aだましができるとてんがとれる
Bあいてのうごきがすばやかったから
Cあいてにパスさせないようにななめのあいだにはいるといい
クリスチーム
@だましをうまくつかえたから
Aボールをもっている人がよくうごいてあきをあかせる。
Bあいてのうごきがすばやかったから
Cだましにひっかからないようにできたらでんをとられないですむ。
クリスタルチーム
@パスのしっぱいでてんがとれなかった。
Aだましをうまくなればいい。
Bだましをうまくつかわれた。
Cだましをじょうずにできるとてんをとられないですむ。
ここで子どもたちが使っているだましは、最初にボールを持つ子がまもりをひきつけるためにするフェイントと受けての子のフェイントの両方をさしている。
3月14日(水)教室1h
みんながみつけた「じゃまじゃまサッカー」のわざとして以下のことをまとめ 個人ノートに最後のまとめを書くように指示した。
ボールあんたがどこさ
@2人ボール1こバージョン(まみ・かりん)
A2人ボール2こバージョン(まや・まみ)
B3人ボール1こバージョン(ゆうか・なつな・るい)
Cれおさくせん(パス)
Dめでサインをおくる(なつな)
Eだまし・・・フェイント(しまず・おおた)足のあいだで方向を変える
わかったこと
攻め
・まもりのいないところにパスを出す
・かげから出てパスをうける。
・うけては、からだをもって行きうける
・足だけでなくボールのところに体が先に行くすばやくはいる。
・ボールがどこに出るかわかる。
・目でサイン
・よくうごいてすきまをあける。
・ぱすをだすとき体を入れてボールをわたさない。
守り
・だまされない
・ななめにかまえ出す受ける人両方みえるようにかまえボールと受けてのあいだに入る。
・すきまをあけない
6.実践を終えて
全32時間の「じゃまじゃまサッカー」の実践は、教室での授業が10時間 運動場が14時間 体育館が8時間の内容であった。今回のこの実践の大きな狙いは、このサッカー遊びの優位性を証明したかったことと一年生なりの試合の分析総合がどの程度できるかということだった。
ボール運びゲームからサッカー要素遊びそして「じゃまじゃまサッカー」へと発展させていったこの実践で証明されたことは、報告からも明らかなように十分にサッカーの特質に触れることができたこと。一年生の力でもゲーム分析によって必要な作戦・戦術を見つけ出すことができたこと。そして作戦・戦術を軸にしたグループ学習も成立し子どもたち同士のコミニケーションの深まりも作り出すことができたことである。
クラス全員が「二人のコンビネーションによるパス・シュート」をゲームのなかで体験できたことは、子ども達にとって大きな財産になっている。
「じゃまじゃまサッカー」自体の課題も見えてきた。それは、どうしてもパスの出し手に固定化が出てきたことだ。今回の子どもたちのように技術認識が高まって来たら三対三の攻防の入り乱れるサッカーゲームのした準備ができたとして「じゃまじゃまサッカー」からサッカーのミニゲームへ発展させることが順当な選択と思われる。