「3年生のフラッグフットボール(ラン)」 〜わしら同志会の体育実践〜    



1.フラッグフットボールとは?
 フラッグフットボールは、アメリカンフットボールのおもしろさを小学生などの子どもたちにも味わえるようにと考えられた陣取り型のゲームである。アメリカンフットボールで行われるタックルの部分が取り除かれ、そのかわりに腰につけたフラッグをとることでそのプレーヤーがタックルされたことになり、1回の攻撃が終わるという工夫がされているので安全に楽しめる教材である。このゲームは次のような良さがある
・ボールをドリブルしたりシュートしたりする難しい技術はなく、ボールをパスする・キャッチする・走ることができればだれもが楽しめるゲームである。
・得点はエンドゾーンに走る込むか、エンドゾーンの中でパスをキャッチするかの2通りある。得点技術が容易であるので、運動が苦手な子どもたちにとってもタッチダウンする(得点する)喜びを味わいやすい。
・ゲームの攻守が区別されているので、攻撃の度に作戦を話し合い、その作戦に基づいてームを進めることができる。作戦が有効かどうかの確かめがしやすい。
・チームの作戦がゲームの勝敗に大きく関わるので、作戦を通して子ども同士のかかわりを深めることができる。
 フラッグフットボールは、バスケットボールやサッカーと違ってほとんどの子どもが経験していない。今までに経験したことがないボールゲームを行うことにより、みんなが同じスタートラインに立ち、新しいゲームをクラスみんなで楽しんでいこうという意欲が芽生えると考えられる。

2.実践したクラス
 
 3年1組32名(男17女15名)2組31名(男17名女14名)

3.学習の進め方(具体的な内容)
(1)しっぽ取りゲーム 
【ルール】
○    ×
×    ○   ○ ×
    ×     ×
○  ○    ×          ○  ○
 ×    ○   ×
・コートの広さは12m×12mくらい
・相手チームのフラッグを取り、フラッグをたくさん取ったチームの勝ち。(個人戦にして、何本フラッグを取れたかを競うこともできる。)
・2本ともフラッグを取られたら、コートの外に出る。
・フラッグを自分の手でおさえたり、相手の体にぶつかったりしてはいけない。

(2)インベーダーゲーム(王様インベーダーゲーム)
【ルール】  
タッチダウンライン 




 
  まもりゾーン
 × × × ×
 




 
 ○ ○ ○ ○せめ  
・4対4でゲームを行う。
・攻める人はボールを持って走る。
・オールコート(バレーボール)の端からスタートする。
・先攻後攻はリーダーがジャンケンして決める。
・1回の攻撃は30秒。30秒の笛が鳴った時に、タッチダウンラインまで行けなかった時は得点にならない。
・まもりの人にフラッグを1本でも取られたらアウト。
・まもりの場所は、二つのラインの間だけである。
◎王様インベーダーゲームは、ボールを持つ人が一人の場合のこと。残りの人は、ボールを持っている人がタッチダウンできるように助ける。まもりは、ボールを持っている人のフラッグを取る。ボールの数をを4→2→1個と減らしていく。
※攻めとまもりは1回ずつ交代するが、フラフトにつなげるために3回ずつ攻撃を交代してもよい。
※フラフトにつなげるために、タッチダウンの時はボールを高くあげるという意識付けをするとよい。
       
(3)フラッグフットボールゲーム(3対3のランを使ったゲーム)                          
                         

タッチダウン2点 

    



    × × ×まもり






  スタートライン
 ○  ◎  ○
  ガード QB ガード

 
(クウォーターバック)
 
【せめ】
・バレーボールハーフコートで行う。
・攻撃は3回。3回とも攻撃のはじめはスタートラインから行い、3回の攻撃で合計何点とれるかを競う。
・QB(ボールを持っている人)がタッチダウンするか,フラッグを相手(まもり)に取られるか、サイドラインを出ると1回の攻撃が終わる。 
・QB(ボールを持っている人)が1点ラインをこえたら1点で、タッチダウンできたら2点。フラッグをとられたら得点なし。
・QB、ガードは1回ずつ交代する。
・ボールを落としたらフラッグをとられたことと同じで、次の攻撃になる。

【まもり】
・はじめは1点ライン上にいる。
・ゲームがはじまるとどこに動いてもよい。             
                  
     
4.単元計画と1時間の流れ(全14時間)
 第1次 フラッグフットボールについて知ろう。
      チームを決めよう。                 ・・・1時間      
 第2次 しっぽ取りゲームやインベーダーゲームをしよう。・・3時間 
 第3次 攻め方を工夫して、フラッグフットボールをしよう。
      2対1・2対2のランを使ったゲームをしよう   。・・4時間(教室1時間)
      3対2のランを使ったゲームををしよう。     ・・・2時間
      3対3のランを使ったゲームを      ・・・・・・・・・・2時間
 第4次 3−1フラッグフットボール大会をしよう    ・・・・・2時間(総合でカウント) 
               
    1  2・3・4 5・6・7 ・8   9・10  11・12  13・14



10



20



30



40
 

オリエンテーション

チームを決める


役割分担をする






 
         今日のめあての確認と役割分担
・しっぽ取り
ゲーム

・インベーダーゲーム


(王様インベー ダーゲーム )
 
         パスキャッチ パスキャッチラン

3年1組
フラッグ
フットボール大会

3対3リーグ戦
2対1・2対2ランのゲーム

・1回戦


・振り返りタイム


・2回戦
   
3対2ランの
ゲーム

・1回戦


・振り返り
 タイム

・2回戦
 
3対3ランのゲーム
・兄弟チームで
 練習する。
・1回戦


・作戦タイム


・2回戦
 
今日のまとめ(できたことやわかったことを話し合う
 本単元では、単元のはじめにしっぽとりゲームやインベーダーゲームを行った。それは、子ども達にフラッグの取り方を習得させたり、あいている空間に走り込んだりする感覚を習得させたいと考えたからである。さらに、簡単な作戦を考えてゲームを行うことで、「作戦を立てる」経験も味わわせようと考えた。授業の進め方は、プレーヤーの人数を減らし、プレイを単純化しながら行った。すなわち、ラン攻撃に限定し、攻撃2人、守り1人の2対1、続いて2対2、さらに3対2と進め、単元の後半は3対3のゲームを行った。こうして進めることで、子ども達が、自分の(一つのポジション)の役割を理解しやすくなり、学習目標を達成しやすくなると考える。また、自分たちのプレーを振り返ることができるように、グループノートや作戦カードを使用させた。1チームの人数は4人で、兄弟チーム(赤・白・青・黄)を作り、8チームとした。チームの中で、リーダー・作戦コーチ・記録係・荷物係と役割を分担することにより仲間意識も高めていきたい。この単元を通して、みんながタッチダウンでき、お互いに教え合い・励まし合ってともに学ぶ喜びを味わせていきたい。

5.3対3のゲームで教える中身(学校体育同志会大阪支部研究部資料参照)
  ゲームの形態   攻撃面での教える中身  守備面での教える中身
 オリエンテーション
 (教室で)    
・フラッグフットボールについて知る。
・チームを決める。・役割分担をする。(リーダー・コーチ・荷物・記録)
 しっぽ取りゲーム 
 
・相手のスキをねらって、すばやく  フラッグをとる。 ・フラッグをとられないように相手  をかわす。
 インベーダーゲーム 
            


 
・フラッグを取られないように相手を かわしながらゴールする。
・攻め方を工夫する。
 @相手のすきまを通り抜ける。
 A相手の動きをよく見る。
 B走る所を決めておく。
・相手のフラッグをとる。
・フラッグの取り方がわかる
・守り方を工夫する。  
・相手の動きをよく見る。

 
 パスアンドキャッチ
 パス・キャッチ・ラン
(攻撃2:0守備 パス)
・短い距離→長い距離 ・止まった場所→動きながら
・レシーバーの動きに合わせてパスをする。
 
 攻撃2:1守備 ラン
       



 
・ガードの役割を知る。
 @相手からQBを守る必要性を知る。
 @相手とQBの間に体を入れる。
 A走りながらでも相手とQBの間に  体を入れる。
・走る所を決めておく(右・左)
・ガードをかわしてQBのフラッグ  をとりにいく。


  
 
 攻撃2:2守備 ラン    
 
・(2:1)と同じ
・すばやく場所をとることが大切であ ることを知る。
・ガードをかわしてQBのフラッグ  をとりにいく。
・2人でポジションをとる。
 攻撃3:2守備 ラン     

 
・作戦を決めて、3人がそれに合った 動き方をする。 
・走る所は3か所(右・中・左)ある ことがわかる。
・相手の作戦をすばやく判断したり  よんだりして、それに合わせた守  り方をする。
 

 攻撃2:1守備 パス

 

・パスを投げるところを決めておく。
・レシーバーの様々な動きに合わせて パスをする。

・レシーバーのマークのしかたを知  る。(相手の間に入る。)
 

 攻撃3:2守備 パス

 

・パスを投げるところを決めておく。
・レシーバーの様々な動きに合わせて パスをする。

・パスをされる前にQBにつっこむ。
・レシーバーのマークのしかたを知  る。(相手の間に入る。)
 攻撃3:3守備
 フォーメーション練習
 (兄弟チームで)
・作戦を決めて、3人がそれに合った 動き方をする。
・グループで決めた作戦をためす。 
・相手の作戦をすばやく判断したり  よんだりして、それに合わせた守  り方をする。
 攻撃3対3守備  
 リーグ戦
・人数が同じになった場合(本来のボールゲームの形)のゲームを楽しむ。
 

1時間の流れ(第9時間目)
 ○本時のめあて
   作戦を工夫して、タッチダウンすることができるようにする。
      学習活動       教師の支援と評価  準備物
 0






10






20






30






40




 
○各チームごとに集まる。
・グループカードの感想を読み 合う。
・役割分担をする。
・準備運動をする。
・パスの練習をする。


○今日のめあてを確かめる。
○3対2のゲームをする。
 (攻撃3回・守り3回)

  


○作戦がうまくいったチームの 動きを見て、わかったことを出し合う。

○作戦タイム
・1回戦を振り返り、2回戦の攻め方を考える。

○3対2のゲームをする。
 (攻撃3回・守り3回)




○学習のまとめをする。
・今日うれしかったことやよかった ことを発表する。

○整理体操・後片付けをする。
・今日の体調を把握する。


・チームで話し合いがうまく進められているか確認する。
☆協力して話し合いやパス練習ができ たか。
 
・攻め方を決めているか。(右・中・左)助言する。


☆作戦どおりに攻めることができたか。

・ガードはすばやくQBの通り道を作ることが大切であることを確認する。
・まもりはすばやくQBのフラッグを取りにいくように助言する。


 
・作戦が生かされたり、成果に結びついたりしたチームを賞賛する。

☆作戦どおりに攻めることができたか。



・次回の活動への意欲付けを行う。
☆チームで協力できたか。

・よく使った筋肉を重点的に行う。

 


コーン・得点板
カセットデッキ
グループカード




作戦カード
グループカード


















 
 
6.授業の経過
単元が始まる前に
○はちまきでしっぽとりゲーム 
 フラフトの単元が始まるまでに、基本の運動(鬼遊び)として実施した。
 赤の長はちまきを4つにおり、腰に2本をつける。はちまきが長いので、数を数えるのに 時間がかかった。また、とった後にひもをつけるのも大変。
 1回目は、全員で(個人戦)で、2回目は、色別対抗で行った。(赤対白 青対黄 3位決 定戦 優勝決定戦)コートは20歩10歩くらい。時間は1分30秒くらい(少し長かっ  た。)フラッグを2本ともとられたらコートの外にでる。
 全体的にとても楽しそう。色対抗でやるといったらそれぞれの色ごとに集まり、地面に作 戦の図を書き始める。また、始まる前にチームで円陣を組んで、「エイエイオー!」とかけ 声をかけたり、ゲームが終わるとみんなで声を出してとった数を数えたりしている。地面に 手をつけて スタートのかまえをするチームも出てくる。てきからひもをとられないように がっしりとこしを落とし、左右を見ながら、手を前にだして防御する姿もみられた。    
発問「たくさんとれるこつは?」
「横からてきがきたらにげる。」「わっかの所にうまくひっかけてとる。」「とられることをおそれずとることだけに集中する。」「とりあいをしているところにしのびこむ。」
発問「すばしっこい人の動きは?」
→「○○君!」「前とか後にいってとられないようにする。」「足を常に動かす。右・左に」「ドリフトする。急カーブする。」「行って帰ってくる。」
発問「とるときは?」
→「とるときは姿勢を低く!」
 
第1次 オリエンテーション(第1時)
「フラフトとは、ボールをはこんで陣地を取るゲームです。」 
 1チーム4人で、8班作る。さらに兄弟チームを作り、赤、白、青、黄の4色に分けると 説明する。チームの決め方については「先生が決める」。「リーダーを先に決める。」「くじ引き。」などいろいろ意見を出しあい、チームはくじ引きで決めることになった。リーダー コーチ・荷物・記録はくじびきでチームが決まった後,相談して決めることになった。
 
第2次 しっぽとり・インベーダーゲームをしよう(第2時・第3時・第4時)
○フラッグを使ってしっぽとり(体育館で)
 フラッグのベルトはズボンの中へ入れる。フラッグをつけてうれしそう。子どもたちはフ ラッグを取るときにスパッといい音がするのが気持ちいいと言う。赤対白,青対黄でフラッグ取り。次に男子だけ・女だけで行う。運動の苦手な男の子が1番たくさんフラッグを取って大喜び。しかも1本もフラッグを取られていなかったので自信をがついたようだ。
○インベーダーゲーム(ボールが4個)
 説明をすると、「お父さんがやったことがある。」「1学期にやった鬼ごっこ(ゴリラ)のフラッグ版やな。」などと言い、やり方はすぐに理解できた。
1回だけ、2チームに手本を示し、後は体育館の両面を使って2チームが同時進行した。せめの時間は30秒以内。30秒したら笛が鳴ることを確認。
せめる時に、「思いっきり走れ。」「つっぱしれー」のかけ声や、まもる時に2列でまもったり、まもりに指示を出したりする子も見られる。おとり作戦が成功する場面もあった。
 
【困ったことを出し合う】
・「攻めているときにおされてとられた。」→おすのはルール違反と確認。あたってしまったらごめんとあやまる。
・「攻めているとき4人全員で一人をせめるのはなし。」→実際にやってみて、「それは作戦のうち」となる。
・見学の子がサイドラインをふむ子が多いと指摘。→横の線を出たらアウトと再確認。
・「ひっかかれて、いたかった。」→つめがのびている人(けっこういた)は次までに切っ てくることを約束。
 
○インベーダーゲーム(ボールが2個・1個)
 せめはボールを2個にする。「ボールを持っている人のことをQB(クウォーターバック)残りの2人をガードと言う。」ことを説明する。
 ボール2個で2セット行い、最後はボール1個で1セットを行った。フラッグのつけ方を確認する。「金具が前にきていたり、体の両横からずれていたりしたら、ゲームが始まる前に相手チームが言ってなおすこと。」
 
【ボールが2個(1個)になることによるルールの変更】
手本を示しながら確認する。
実際にやらせてみると、守りの子がガードの子のフラッグを取り、ヤッターと喜ぶ。また、ガードの子もフラッグを取られたためコートの外に出てしまうという状態になった。
@まもりがガードのフラッグをとっても意味はないこと。
Aガードは、QBを助けるために動くこと。
Bまもりの人はどこへ取りにいってもよい。前にとりにいってもよいし、後に下がってとってもよいこと。

【反省】
@コートを半分にして、センターラインからスタートしたため、勢いをつけて走るという快感がなくなってしまった。
A今まで教師の笛の合図でスタートしていたが、教師が手をあげたら、チームのかけ声で前に出るように変更した。フラフトにつなげるために、かけ声を徹底させる必要が   あった。合わせて、こうげきがスタートするまでは、まもりは動いてはいけないことも徹底させる。「3,2,1,ゴー。」などのかけ声を教室で考えさせた。

【ゲームの様子(ボール2個)】
 1回戦は、すきを見て右サイドにタッチダウンできた場面もあったが、QBとガードのコンビネーションが分からずQBが一人ダッシュで走っていったり、まもりがどんどん前にせめて来て後の跳び箱の所まで下がってしまったり、得点には結びつかないケースが多かった。
作戦タイムで、前にせめることを確認する。
 2回戦では、QBとガードが2人組になってぴったりくっつく動きが多くなった。後を向いてガードする子。速攻でタッチダウンをきめる子。ガードがQBの動きをを見ながら守っているチームはタッチダウンに成功。すでにななめ向きに(フラフトでは重要な動き)ガードをするプレイも見られた。まもりも2人組になり、タッチダウンされたり、フラッグをとったりすると次のフラッグを取りに行く動きが出る。
 
【ルール変更と約束ごと】
・1点ラインを作る。
・タッチダウンの決まりの確認。ゴールの線まで走ってタッチダウンできたらボールを上に高く上げること。
・しんぱんは両サイドにわかれて確認する。記録係が得点を入れる。
 
【ゲームの様子(ボール1個)】
   1日目は、ガードが前右左とQBを囲む形となり、QBが前に出られず、せめることができない場合がほとんどであった。
   2日目になると、せめかたとして縦一列になって攻撃する隊形がでてきた。
  白(まもり)は合図がなるといっきにフラッグを取りに行くので、赤組は一歩も前に進めむことができなかった。
 
第3次 フラフトミニゲームをしよう
○2対1のゲーム(第5時・第6時は教室・第7時) 
【ルールの説明】
・攻め2人(ガードとQB)・守り1人のランに限定したミニゲームを行う。
・3回続けて攻撃ができる。表裏が終わったら1回戦終了。
・中央のラインをこえたら1点(1点ライン)で、タッチダウンできたら2点とする。
・学習カードの書き方を知らせる。だれがどの順番でせめるか、まもるかを決めさせる。
【変更したこと】
@体育館4面をゲームに使うため、センターライン(白い線)の内側からスタートをするように変更する。また、センターサークルの中ならどこからスタートしてもよい。 
A守りは中央1点ラインの所からスタートする。せめチームが動いたらフラッグを取りに行ってもよい。
 
 
【めあて】「右に攻めるか左に攻めるか二人で相談してせめよう!」11/27
 1回戦は、2人で相談はしているが、ガードとQBがはなれてしまうことが多かった。イ ンベーダーゲーム(4対4)のように後からとられることはないので「思いきって前に行こ う」と声かけをする。
 「QBが右に動いたらガードはどちらに動くか?」とたずねると、ほとんどの子が右と答えたが、左と答えた子も多かった。右にいく理由は、「QBをまもられへんやんか。」であった が、左にいくと思ったのはおとり作戦の影響か。実際に見本を示してみる。ガードは、QBと同じ方向に動くことを確認する。また、手を広げてしっかり守ってあげることを伝える。
  2回戦は、ガードはしっかり手を広げて動くことができるようになった。どの子も、まもりの時に、ガードの動きではなくしっかりQBを見て動いているのには驚きであった。QB はすきをみて走っているがタッチダウンしにくそうである。途中でフラッグをとられることも多かった。ガードの動きがよかったペアを紹介し、「ガードはQBと守りの間に入ること」 さらに「ガードの動きがよくなったらいいのはこう(ななめに)動くこと。すると、QBはすっと通れる。後にちゃんと道ができていて絶対にフラッグをとられない。」とまとめた。
  
○教室でVTR視聴
 教室に帰ってからプロジェクターにより授業の様子を振り返る。Iさんの(QB)のよい 動きをみて考える。「Iさんは、ちゃんとまもりのYさんの動きを見てそれに反応して動い ている。また、YさんもQBだけを見て動いている。ガードは大切である。」と意識づけた。
 さらに、3年2組のA君のガードの動きをみる。 スタートと同時にななめの場所にすっと 動く。みんな感動。「あっちゅのようなガードがしたい!」と口々に言う。
 
【めあて】「ガードはQBとまもりの間に入り、あっちゅのような道を作ろう。」11/29
VTRを見たおかげで、動きが大変よくなった。
  白組、運動の苦手な女子BさんとやんちゃなHくんのペアが仲良く攻め方の相談しているのが微笑ましい。その他、ガードがどんどん前に攻めていったり、「いけー」のかけ声をか けてQBがタイミングよくタッチダウンできたりするなどよい動きが数多く見られた。
 「必ず道を作ること」「ななめになること」をおさえる。クラス全員の前で、Yがガードで BさんがQBでタッチダウンに成功したことを伝えると、大きな拍手をもらう。
  授業の終わりに、よかったこと・がんばったことを発表する。
 「負けていたけれど勝ててよかった。」 「黄組のIさんのガードがよかった。」「相手チームが大きな道を作っていた。」「あっちゅのようなプレイができた。」「Mさんの守りがよかった。」 道を作るという意識ができたと思われる
 
○2対2のゲーム(第8時)
【めあて】 「とにかくやってみよう。どうしたらタッチダウンできるか、1点とれるか考えよう。」
 どのチームも学習カードを見ながら出る順番を確認している。攻めも守りも念入りな相談をする。1回目がおわった後に集合し、「ガードはどう動いたらいいか。」をたずね、N君の考えをやってみる。Nは、一人目のガードをおさえながら、もう一人のガードも目で見ている。Nのよい動きで、「かべが前に前に動く。」という意識付けをもっとできればよかったと反省。
 前回の白組YさんとBさんのペアも手本となる。ガードのYがいっきにななめのポジションまで行き、ガッとふんばって道を作っていた。みんなの前でBさんタッチダウンできる。
 「道を決めたら迷わず行こう。場所を互いに早くとりに行こう。これは、『場所とり合戦』 である。1点はとろう。」とまとめる。子どもたちに2対2の感想を聞くと、「2対2の方が おもしろい。」「いい勝負になってぬきにくいからおもしろい。」という声が出た。 
 
○3対2のゲーム(第9時・第10時)
【めあて】 「自分たちの考えた作戦をためそう!」 12/4
朝の時間に各チーム、作戦を2つ考え、作戦カードに記入する。  
「作戦1でいくか作戦2でいくか、たしかめてからやること」を指示。
「作戦1やで1,1,1。」と白組Hが大声でさけぶ。真ん中に道を作り、QBがぬける作戦で、Yはタッチダウンに成功。
 Y・H・Bの白組のせめで、Bさんは、作戦2でタッチダウンに成功する。
 集合して、作戦どおりにできたかをたずねる。スローモーションで白組に真ん中を突破する 作戦をやってもらう。「全く同じや。」「いっしょや!」という声が続出。 2対2の時はQBの通る道は2つであったが、右・中・左の3つのコースがあることを確認する。一分間作戦タイムをとってから、二回戦を始める。赤チームは真ん中突破作戦が成功して何度も試していた。
 
【作戦タイムの様子】
S先生「1回戦どうやった?1回戦?」
    「ちょっと失敗した。」「作戦やろうと思ってんけど、それ通りにできへんかった。」
S先生「なんでやと思う?」
    「おれがなリーダーやねんけど、オレ忘れててん。」
S先生「それが反省やな。みんながわかるようにせな。次の作戦はみんながおぼえやんな。動き方覚えよう。」・・・・2回戦で、黄組は見事タッチダウンを決める。
 
【めあて】 「自分たちの考えた作戦をためそう!」 公開授業 12/6
 作戦1から作戦4までためす。必ず1回ごとにたしかめてからせめることを確認する。まもりの動きがすばらしく、ガード2人の動きがきちんとできていないとなかなか得点できないスタートのかけ声よりも早く、まもりが動いてしまうとせめることができないので、かけ声をしっかり言うように指示。真ん中とっぱ作戦は成功率が高いようだった。作戦タイムでは、じしゃくや紙を使って、作戦図の上で話し合っているチームもあった。最後に得点されてたために負けて泣き崩れている子もいた。  
 
【研究協議より】
・ クラス全員が楽しんでいた。・高度で楽しい授業だった。・それぞれの子が今何をするの かをきちんと把握して動いていた。・苦手な子やできない子が目立たない。・ぶつからない (接触プレイがない)のがすごい。・子どもたちがよく考えて作戦を立てていた。・学級経営に生きる。・思いっきり泣いたらいい。勝ち負けにこだわることも必要。・運動量は少なくなるが(体育館ではコートが少しせまい)、動きがいっしゅんだが激しいし、集中して作戦を考えることが大切。・コートの広さや投げる・うける技術を考えるとパスを使ってやるのはむずかしい。
 
○3対3のゲーム(第11時・第12時)
【スタートの変更】
・せめるチームは、センターラインから両手をのばした長さの分だけ後に下がり、ガード2人がその場所でかまえる。さらにその後にQBがならび、三角形になる。軽く足を開き、日膝を曲げる。片方の腕をのばして親指を床につけ、顔は前に向けて、審判の「セットしてください。」の合図でかけ声をかけて、始める。 
・まもりも同じようにセンターラインから向かいあって後に下がり、せめの3人と線対称の 形になる。片方の腕をのばして親指をつける。せめが動くまでに動いたら反則。
・審判は、「セットしてください。」という役、1点ラインを見る人、タッチダウンラインを見る人に分かれる。
【めあて】「作戦をきちんと実行しよう!」
「作戦どおりやって、失敗するのはかまわない。」「作戦どおりではなくて、偶然タッチダウンができても意味はない。」と話した。とくに、前回、作戦が成功しなかったチームは、3人の動きがバラバラで、どの作戦でいくのか分かっていなかったので、はじめに作戦を確認することを徹底させた。 

○3−1フラフト大会(第13時・第14時)
 リーダー8人でフラフト実行委員会を結成する。開会式(司会、はじめの言葉、ルール説明、準備体操、各チームの宣誓)閉会式(司会、終わりの言葉、各チームの賞・ベストプ レーヤーの発表)の運営を担当する。保護者にも学級通信を通して、フラフト参観を呼びか けた。急な連絡にも関わらず、たくさんの方が応援にかけつけてくれて、盛り上がった。
【保護者の感想(アンケートより)】
・とにかく驚きました。3年生であれだけ作戦を考えたスポーツができるなんて!一目見てその楽しさがわかりました。はじめのポーズも本物のアメフトみたいでかっこよく、スポーツの苦手な子も楽しめて、なんといっても勝負の要はチームワークだから作戦がうまくいった時はみんなとてもうれしそうで、見ている方も気持ちがいいゲームだと思いました。ただ体を動かすだけでなく、自分たちで作戦を考えたりできる所にこの授業の本当のねらいがあると思います。3学期もパスを入れてするとのことなので今から楽しみです。

7.実践を終えて
○フラフトは、男女・年齢・技能を問わずみなが楽しめ、また、ルールも柔軟に考えられる魅力ある教材と思う。今回、ラン攻撃に限定して3対3のゲームを行ったことはよかった。
○教室で、自分たちのVTRを見て、よい動きを振り返ることができた。 
○学習カードや毎時間の感想「わかったこと」「できたこと・うれしかったこと」は、効果 的だった。毎回書くことで自分の思いや考えをもつことができた。「道がつくれていけた。」「ぼくがガードの時,QBの人をうまく守れてよかった。」「タッチダウンできてうれしかっ た。Mさんがしっかりガードをしてくれたおかげです。」など、友だちとの関わり合いの記 述量もだんだん増えていった。さらに、学級つうしんを通して、一人一人の感想を読み合う 中で一人が発見したことをクラスの皆で共有することができたことは大きかった。
○攻げきの度に、作戦を立てることができ、仲間との関わりが深くなっていったこともよか った。作戦カードを使い、作戦図を記入してから、ゲームを行った。消しゴムやこまなどを使って自分たちの動きをシュミレーションしている場面もあった。実際にチーム内で作戦の練習をする時間がもっととれたらよかったと思う。
○子どもたちの作文を紹介する。
「フラフトで学んだことがある。それはチームワークだ。やっぱりチームワークがないとフラッグをとりにもいけないし、タッチダウンもできないからだ。やっぱりいろんな事がわかる体育はすっごくたのしい。」
「ぼくはフラフトのおかげでできるようになったことがあります。それは、トルシェかんとくみたいになったり、頭がよくなったり、すごく大きな声が出るようになったりしたのです。何もかもフラフトのおかげです。ぼくはフラフトにかんしゃしています。」
「ずっと前QBでうれしかったことがあります。はじめてタッチダウンできた時です。そのときはうれしかったです。フラフトはやっぱり楽しいです。タッチダウンができたのは0君のおかげです。わたしをまもってくれたからです。」と運動の苦手なBさん。
「おれはみんなでフラフトができるのがよかった。自分もできるだけ2点はとろうとおも うてた。来しゅうには、なんとフラフト大会ができんのがごっつう楽しみやねん。」と、これは友だちと関わることの苦手な男の子である。
 フラフトの学習で、運動の苦手な子もみんなが活躍できたこと、目標(作戦成功)に向かっ てチームで力を合わせて最後までがんばれたことが何よりもよかった。この学習を一つのき っかけとして,体育の時間だけに限らず,子どもたち一人一人がふだんの生活の中でも運動 に親しみ、仲間とともにいきいきと活動していくことを願っている。

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