ドル平の疑問            −わしら同志会の体育実践−    


疑問@「なんでドル平なのか?」
 ドル平はもともと「息つぎでつまずいている子どもたち」をどのようにしたら泳げるようになるのか?を考える中から作り出された泳法です。息つぎを中心にした学習が系統的に指導できるように研究されていきました。泳ぐことを「浮いて・息つぎをして・進む」というよう考え、とりあえず「進む」ことを後回しにして「浮いて・息つぎ」を先に練習します。ですから『ふし浮き呼吸』が大切になります。これを15回ぐらいできると25mは見えてきます。

<苦手な子どものつまずき>
・「パッ」ができない。吐き出しているだけで吸い込めない。
⇒歩きながらの息つぎの練習にもどる。「パッ、ハ〜」とすう声かけをしてあげる。

・水の中で「パッ」としてしまう。
⇒あごが水上に出たら「パッ」をする。

・背中が浮くまでがまんできない。
⇒がっくり浮きの練習をする。

・しずみそうになるとこわくて足をついてしまう。
⇒息つぎ1回したら浮くまで「がっくり」の練習。がまんできたら息つぎ2回に。


疑問A「同志会の人ってほんとにドル平をしてるのか?」
 ちゃんと調査しているわけではないのでよくわかりません。でもチャンスがあればと思っている人も多いでしょう。実践するためにはなんといっても「学年の合意」が必要です。教材の優位性を語る必要があります。それでも「ドル平はちょっと・・・」と言われる場合は「クラス、別々でしましょう」という人もいるようです(これはなかなかできそうもありませんが)。
 実際にドル平ができなくても、ドル平の大事にしている部分を授業に入れ込んでいるという人もいるようです。例えば、「息つぎ」です。どの泳法でも「息つぎ」がしっかりできていればちょっとくらいかっこうが悪くても、効率が悪い進み具合でもある程度のキョリは泳ぐことができます。平泳ぎならば「にゅ〜」とすることで沈みにくい泳ぎ方を学習できます。クロールならば、ローリングしても「ふし浮き」にもどることで安定して泳ぐことができます。

疑問B「ドル平を学習させても、次の学年ではバタ足からしてるのでは?」
 確かに、そんな現状はよくあります。これを解決するには「水泳の教育課程」を学校で十分検討してその中にドル平を位置づける必要があります。ぜひ、そこまで踏み込んで実践をしてほしいです。しかし、なかなかそこまで踏み込めない状況もあります。ドル平をしていればバタ足からの指導でも効果が上がるはずです。少なくとも弊害があるということは全くありません。ドル平の要素である水平姿勢で浮くこと、がっくり浮きになることがしっかりできていれば、かなりの子どもがクロールを泳ぐことができます。だから、ドル平は「基礎泳法」と言われているのです。

疑問C「グループ学習がどうもうまくいかないときは?」

 それはどの先生もめっちゃうまくいっている!とは言い切れないと思います。とくに水泳はプールで行うので、ついつい子どもたちは遊んでしまいます。そうしないためには、その時間で「何を学ぶのか」「何が課題なのか」を明確にしておく必要があります(ちなみに、A氏は「うちのクラスは教室で事前の学習をしてくるけど、他はしてないから遊んでしまう。すると遊びがうつってくる」と嘆いていましたが・・・)。
 子どもたちに学習をさせるためには、学習内容を明確にすることは当然ですが、学習規律を守らせる(遊んでいる子どもはあげさせるなど)ことも実はけっこう大切です。しっかり友だちの泳ぎを観察させる環境を作ることがなければ、分析することもできないのですから。 水泳では、一般的に「能力別」がなんの疑問ももたれずに行われています。それを変えていくには、やっぱり異質協同のグループ学習で実践をすることだと思います。地道にドル平の実践を、グループ学習を行っていくことが、学校にとっても子どもたちにとっても良いことだと思います。(といっている私の学校では、5年生は能力別でがっつりやっています・・・)

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