「クロール泳法の発展史 −わしら同志会の体育実践−    


 元々一番古くから泳がれていた泳法は、平泳ぎであった。(今の平泳ぎとは異なるが)そこから泳ぐスピードを増すために、考え出されたのが「SIDE−STROKE(横泳ぎ)」である。

SIDE−STROKE 
 水の抵抗を少しでも小さくして、スピードを増すために、体を横にして泳ぐことが考え出された。手は交互にかき、足ははさみ足である。今、泳がれている横泳ぎとは違い、完全に一方の体側を下にして、左右の手の動きも微妙に異なる。

OVER−ARM SIDE−STROKE

 更に、水中での抵抗を少なくするために考え出されたのが、上方の腕を前に戻すときに水面上を通す「OVER−ARM SIDE−STROKE」であった。キックははさみ足で短距離走者のように大またにして水をはさむ。腕の動きは上方の手(普通は左手)は、肘から上の部分は完全に水面上にあり、水をかく時だけ、肘から先の部分が水中に入るというかき方である。この改良型として、「DOBLE OVER−ARM SIDE−STROKE」も考え出された。

TRUDGEN STROKE
 イギリス人のJ・トラジオンが旅行中に見た原住民の泳ぎを参考にして考え出された泳ぎ方で、両手とも交互に水面上に出して、水をかくというやり方だった。足の方は、まだ横泳ぎと同じはさみ足であったが、非常に速く泳げる泳法ということで、センセーショナルを巻き起こした。このトラジオン泳法によって、ローリング動作が生み出された。

CRAWL STROKE

 トラジオン泳法の足のキックをバタ足にしたクロール泳法が、イギリス人のキャビル一家によって考え出された。今までの泳ぎ方とは違って、水上をはいまわる(Crawl)ように見えたことから、この名前がつけられた。さらに、より速く進むために、キックの回数も増やされ、アメリカ人のワイズミュラーによって、4ビート、6ビートのクロール泳法が完成するのである。

 ここに紹介したクロール泳法の発展史であるが、このように改良されてきた大きな理由は、プールなどの施設の改良によって、短い距離で速さを競うことが可能になったことである。クロールが「特殊な泳ぎ(競争を目的にした未来の泳ぎ)」という言葉もあった。
 尚、日本の学校体育では面かぶりクロールが指導されるが、これは、日本の水泳陣が見た、ワイズミュラーの頃のアメリカンクロール(バタ足の目立ったクロール)に由来するのではないかと考えられる。(sawa)

参考文献:「THE BADMINTON LIBRARY」
       「Duke Kahanamoku−幻の世界記録を泳いだ男−」

      

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